ペロブスカイト太陽電池、2030年に向けて何が起きてる?第42回 高市戦略17分野、曲がる太陽電池「原発20基分」 過去の失敗教訓に

皆様、こんにちは。 

合同会社ヘキサゴンブリッジ 代表 CEO、新規事業おじさん® ペロブスカイト太陽電池アドバイザー アート森でございます。

以下の記事が目に留まりました。

高市戦略17分野、曲がる太陽電池「原発20基分」 過去の失敗教訓に

(日本経済新聞) 

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA272WI0X20C26A5000000

私のように、年中、ペロブスカイト太陽電池に関わっている人間には当たり前の世界でも、「ペロブスカイトって何が良いのか? 何が課題なのか?」は、一般的にはまだまだ知られていません。

普及が進み、ニュースで見かける機会が増えるにつれ、「そもそも、なぜ政府はそこまでペロブスカイトを猛推ししているの?」と素朴な疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。

で、「原発20基分(20GW)」?   

なんか、想像つかなくないですか?

「原発20基分と言われましても……」と頭にハテナが浮かんだ方、大正解です。

20GW(ギガワット)という出力を、薄くて軽いフィルム型ペロブスカイトの面積に換算すると、なんと約1億3,000万平方メートル。

分かりやすく言うと、【山手線の内側(約63k㎡)の2倍以上の広さ】です。

想像してみてください。山手線の内側2個分を、まるまるペロブスカイトのシートで覆い尽くすレベルの量です。

「そんな途方もない量のフィルム、一体日本のどこに貼るねん!?」と思いませんか?

ですが、こここそがニュースの表面的な数字をなぞるだけでは見えてこない、政府の本気度とビジネスの泥臭いリアリティなのです。

1. なぜ「山手線2個分」なんて大風呂敷を広げるのか?

政府がここまで強烈な数字をぶち上げる背景には、2つの「トラウマと野望」があります。

トラウマ:「シリコン型太陽電池敗戦」の屈辱

  かつて日本は太陽光パネルの世界シェア1位でした。しかし、研究開発を企業任せにし、量産化や需要創出の手をこまねいている間に、中国政府の手厚い補助金を受けた中国勢に価格破壊で叩き潰され、日本企業は大撤退を余儀なくされました。この「技術で勝って事業で負けた」苦い記憶を、国は二度と繰り返したくないのです。

野望:「ヨウ素」という国産資源によるエネルギー自給

  従来のシリコンパネルは材料も製造も中国頼み。しかし、ペロブスカイトの主原料「ヨウ素」は、日本が世界シェアの約3割(第2位)を誇る貴重な国産資源です。つまり、海外の輸入に頼らず、自国でエネルギーの心臓部を賄える**「エネルギー安全保障の切り札」**だからこそ、国が総力を挙げて推しています。

2. 「どこに貼るの?」の中に眠る巨大なブルーオーシャン

ここで一番重要なのは、「20GW(山手線2個分)は、積水化学や東芝などのメーカーが工場でシートを作っただけでは1ワットも達成できない」という事実です。

山手線2個分のフィルムを、具体的にどこに誰が貼るのか?

平地やメガソーラーの適地はすでに飽和状態です。

貼る場所は、耐荷重の厳しい「古い工場のスレート屋根」「学校の体育館」「ビルの壁面や窓」「道路の土手(法面)」「農業用ビニールハウス」など、日本中に散らばる未利用地や壁・屋根しか残っていません。

現在地は、積水化学がサンプル販売を開始する等、モジュールメーカーからのサンプル出荷が始まったところ。ここからは、モジュールメーカーが量産体制を確立するのと並行して、「現場で傷つけずに貼り付け、配線し、雨風に耐える防水を施してシステムとして統合する」職人や施工会社さんたちが準備にかかるフェーズに来たと、私は捉えています。

ここに、我々現場のプレイヤーや地方の電気工事会社、新規事業を狙う企業にとっての**「特命施工(アタッチメント・施工統合)」という名の巨大なブルーオーシャン**が広がっています。

新規事業おじさん® ペロブスカイト太陽電池アドバイザーのまとめ

新聞に躍る「原発20基分」「官民30兆円」という大層な数字にちょっと驚かれた方も多いのではないでしょうか。

ですが、その数字の裏側にあるのは、「日本中の屋根や壁に、誰が泥臭くシートを貼りに行くのか?」という現場の勝負です。

実はここに日本の勝機があるのではないか?と思っています。モジュールの量産だけの競争ではない。それを施工、実装、運用するノウハウ。それらがしっかりとバリューチェーンとして繋がること。

これを日本独自の強みにしていくことが重要なのでは?と思います。

この足元のリアリティに目をつけて先回りしたプレイヤーこそが、次のエネルギー市場の覇者となります。

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