
皆様、こんにちは。新規事業おじさん® ペロブスカイト太陽電池アドバイザー アート森でございます。
今回は、大学発のペロブスカイト太陽電池の研究に関する、以下のニュースを取り上げます。
兵庫県立大学発!広く長く安く使える、ガラス基板ペロブスカイト太陽電池:先端化学
(生体環境科学研究センター)
この見出し。どう捉えられますか?
「えっ、ペロブスカイトの最大の強みって『軽くて曲がる(フィルム型)』ことじゃなかったの?」 「今さらガラス基板って……重くて曲がらないなら、別に安くなったシリコンパネルで十分じゃないか?」
こう思われる方も多いと思いますが…ですが、大手メーカーでもガラス基板型を開発しているメーカーはいますよね。パナソニック、アイシン といった企業です。
パナソニックはBIPV(建材一体型)、アイシンは車載をターゲットにして開発を進めています。
なぜ「フィルム」ではなく「ガラス基板」なのか?
ペロブスカイトといえば「軽量でフレキシブルなフィルム型」が代名詞のように語られますが、ガラス基板で開発を進める陣営には、明確な狙いと主張があります。
一つは「すでにガラスが存在する場所を置き換える」という発想です。 ビルの窓ガラスや壁面(ファサード)、自動車のルーフガラスなど、世の中には「剛性や透光性が求められ、元々ガラスが使われている広大な面積」が存在します。後からフィルムを貼るのではなく、最初から「発電するガラス建材・部品」として製品化してしまえばよい、というアプローチです。
もう一つが「圧倒的な耐久性(バリア性)の確保」です。 ペロブスカイト層は水分や酸素に非常に弱いという弱点がありますが、ガラスは最高のガスバリア材です。ガラスで挟み込むことで、フィルム型が直面している「封止(劣化防止)」の課題をクリアし、長寿命化を図りやすいという強みがあります。
株式会社先端化学研究所の「強かな戦い方」
そうした中、今回の記事の主役である兵庫県立大学発のスタートアップ「株式会社先端化学研究所」の取り組みは、極めて現実的かつ、強か(したたか)な戦い方を示しています。
彼らの強みは、単にガラス基板を選んだことだけではありません。
1. 希少金属に頼らない基板選択
フレキシブルなフィルム型では、希少金属(インジウム等)を含むITO基板が多く使われますが、同社は安価で一般的な導電性ガラス(FTO基板)を採用。資源の制約を受けずに大幅なコスト低減を図っています。
2. 大がかりな真空設備を不要にする「大気中での製造」
通常、ペロブスカイトの製造には厳密な湿度管理(クリーンルームなど)が必要ですが、同社は独自の「多層多孔質カーボン電極」を活用し、なんと一般の大気環境下で、スクリーン印刷による製造に成功しています。これにより、設備投資コスト(CAPEX)を劇的に引き下げています。
3. 約20年相当の耐久性をクリア
JIS規格の耐久試験を大きく上回る2,000時間(約20年以上の耐久性目安)をクリアし、既存のシリコン型と同等以上に長く使える可能性を示しています。
世間やメディアは「薄くて曲がる、夢の太陽電池!」といったキャッチーな側面に飛びつきがちです。しかし、社会実装の現場で最後に勝敗を決めるのは、「いかに安く、歩留まり良く作り、安定して長く使えるか」という製造業の本質的な基本です。
先端化学研究所は、大学発ベンチャーでありながら、枯れた素材(ガラスやカーボン)とスクリーン印刷といった技術を組み合わせ、「ビジネスとしての確実な筋の良さ」を真っ向から追求しています。
皆さんはどのように考えられますか?
今日のところはこんな感じで。
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