ペロブスカイト太陽電池、2030年に向けて何が起きてる? 第46回「神奈川県が国内初のカルコパイライト×ペロブスカイト・タンデム型太陽電池の実証を開始」

皆様、こんにちは。新規事業おじさん® ペロブスカイト太陽電池アドバイザー アート森でございます。

今回は、神奈川県から発表された以下の公式プレスリリースに注目しました。

次世代型タンデム太陽電池の実証を開始します!inあーすぷらざ

~国内初!フィルム型の次世代型タンデム太陽電池の実証開始~

(神奈川県 記者発表資料)

https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ap4/prs/r2980204.html

今回の実証実験で採用されているのは、相模原市に拠点を置くディープテック企業「株式会社PXP」が開発を進める、カルコパイライト(CIGS系)太陽電池とペロブスカイト太陽電池を組み合わせた「タンデム型」です。

なぜこの組み合わせなのか。

技術的な意義に加えて、地方自治体(神奈川県)がこの実証に取り組むというのはどういう狙いがあるのだろうか?を探ってみましょう。

「オールフィルム型」を可能にする技術的な意義

一般的なタンデム太陽電池は、従来の結晶シリコンの上にペロブスカイトを重ねる構造が多く検討されています。一方、PXP社が取り組むのは、薄膜太陽電池であるカルコパイライトを下波長用(ボトムセル)、ペロブスカイトを上波長用(トップセル)として組み合わせるアプローチです。

この構成の大きな強みは、「上下双方をフィルム基板で製造できる(オールフィルム型)」点にあります。

シリコンを挟まないため、薄く・軽く・曲げられる柔軟性を保ったまま高効率化を狙えます。耐荷重に制限のある屋根や壁面、曲面など、従来のパネルでは設置が難しかった場所への適応力を広げる技術的な意味合いが見えてきます。

地方自治体(神奈川県)が実証に取り組む狙いとは

どれほど先進的な技術であっても、実際の屋外環境における耐久性や安定した発電データの蓄積がなければ、社会実装へのハードルは越えられません。

神奈川県が県立施設「あーすぷらざ」という実際の公共スペースを実証の場として提供している点には、以下のような狙いがうかがえます。

  • リアルな実稼働データの取得支援: 実際の天候や環境下でのデータを泥臭く取得・検証できる環境を提示すること。
  • 脱炭素(GX)と地域技術育成の融合: 単に設備を導入するだけでなく、地元・相模原の先端技術を現場から支え、地域のGX推進と技術発展を同時に模索すること。

自治体が実用化に向けた検証の場となることで、民間企業や他地域にとっても導入に向けた参考事例となっていくことが期待されます。

まとめ:社会実装に向けた新たなアプローチ

技術の高度化と、それを現場で試すプロセスの確立。この両輪が揃うことで、2030年に向けた社会実装のリアリティが高まります。

カルコパイライト×ペロブスカイトという独自の挑戦と、それを実証の場で支える神奈川県の試み。技術と地域がどう手を取り合い、新しい選択肢を広げていくのか、今後の経過に注目していきたいと思います。

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