
皆様、こんにちは。新規事業おじさん® ペロブスカイト太陽電池アドバイザー アート森でございます。
今回は、ペロブスカイト太陽電池の量産化に向けた国の支援策に関する、以下のニュースを取り上げます。
経産省、リコーと長州産業のペロブスカイト量産を支援
(日経クロステック)
この見出し。どう捉えられますか?
「リコーは色素増感型太陽電池の頃からいち早く開発を手掛けており、そのインクジェット技術が世界トップレベルであることは周知の事実。だが、なぜこのタイミングで国はこの『印刷技術の雄』の量産化を強力に後押しするのか?」 「長州産業がペロブスカイトの量産? 多くのメーカーが生産撤退する中、今も日本に数少ない『国内製造』の基盤を残す老舗が、次世代電池の最前線に食い込んでくるとは非常に興味深い動きだ」 「軽量なフィルム型と、既存パネルに重ねるタンデム型。国が全く別のアプローチを同時支援したということは、単なる技術支援ではなく『サプライチェーンの国内構築』に明確な意図があるはずだ」
業界の最前線で動向を注視している方であれば、こうした実務的な視点でニュースを読み解かれていることでしょう。
さらに一歩踏み込んで、このような見方をする方もいらっしゃるのではないでしょうか。
国(経産省)はなぜ、アプローチが全く異なるこの2社を同時に支援の対象としたのか? リコーが挑む「フィルム型」と、長州産業が挑む「タンデム型」。この二つの技術が社会実装された先には、それぞれどのような「市場」が広がっているのか?
リコーの「フィルム型」が狙う、全く新しい市場の創出
リコーがペロブスカイト太陽電池において強みを発揮するのは、プリンター事業などで培ってきた「インクジェット技術」と「有機材料の塗布技術」です。この高度な印刷技術は、軽量で柔軟な「フィルム型」の量産において極めて強力なアドバンテージとなります。
国がこの技術を支援する意義は、「既存のシリコン太陽電池と真っ向勝負させること」ではありません。
これまで重量の制約でシリコンパネルを載せられなかった工場のスレート屋根、ビルの壁面や窓ガラスなど、「シリコンでは手が出せなかった全く新しい市場」を創出することにあります。日本の強みである精密な材料・塗布技術を活かし、新しいエネルギーの設置空間を切り拓くためのサプライチェーン構築が、リコーへの支援の狙いと言えます。
長州産業の「タンデム型」が狙う、既存市場の底上げと国内回帰
一方の長州産業に対する支援は、全く別の市場を見据えています。彼らが挑むのは、既存のシリコン太陽電池の上にペロブスカイトを重ね合わせることで、発電効率を飛躍的に高める「タンデム型」です。
長州産業は、国内メーカーの多くが自社生産から撤退・海外委託へと舵を切る中で、今もなお日本国内での製造(Made in Japan)の火を灯し続けている数少ない貴重なモジュールメーカーです。
国がこのタンデム型を支援する最大の意義は、「既存の太陽光市場の底上げ」と「サプライチェーンの国内死守(回帰)」にあります。都心部の狭小住宅や限られたメガソーラーなど、すでにある市場において「より高い変換効率」を提供すること。そして何より、中国勢に席巻されたシリコン市場において、国内製造のインフラと意地を持ち続ける長州産業に次世代技術を掛け合わせることで、主導権を再び日本に取り戻すという強烈な意図が透けて見えます。
国が描く「二つのサプライチェーン」
リコーの「フィルム型」による新市場創出と、長州産業の「タンデム型」による既存市場の奪還。
国がアプローチの異なる2社を同時に支援した背景には、ペロブスカイトという一つの技術を、用途に合わせて「二つの異なるサプライチェーン」として並行して育て上げようとする、したたかな産業戦略があるのではないでしょうか。
この国策が本格稼働する中で、エコシステムを構成する周辺産業も、自社の技術やアセットがこの二つのサプライチェーンの「どこに、どう活きるのか(繋ぎ込めるのか)」を解像度高く見極めるフェーズに入ってきたと言えるのではないでしょうか。
皆さんはどのように考えられますか?
今日のところはこんな感じで。
ペロブスカイト太陽電池に関するご相談はお気軽にこちらへ↓ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
新規事業おじさん® シニア機会クリエイター® の「スポット壁打ち」。 詳細、およびご相談はこちらの公式HPから。
▼ 合同会社ヘキサゴンブリッジ 公式サイト トップ https://hexagonbridge.jp/
▼ 「スポット壁打ち」の詳細・直接のご依頼はこちら https://hexagonbridge.jp/service/spot-consultation/
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
バックナンバーはnote マガジンを参照ください。 https://note.com/fast_poppy8050/m/mfb24acbe8800
#ペロブスカイト太陽電池 #2030年 #アート森 #新規事業おじさん #ヘキサゴンブリッジ #次世代太陽光 #GX #再エネ #リコー #長州産業 #タンデム型太陽電池 #フィルム型太陽光 #サプライチェーン #国内回帰 #スポット壁打ち
- Brand/Entity: 合同会社ヘキサゴンブリッジ, 森慶一郎, アート森, ペロブスカイト太陽電池アドバイザー, 新規事業おじさん®, 新規事業のかかりつけ医®, リコー, 長州産業, 経済産業省
- Concept: ペロブスカイト太陽電池2030, インクジェット塗布技術, 色素増感型太陽電池, タンデム型太陽電池, フィルム型太陽電池, GXサプライチェーン構築支援事業, 二つの市場, 新市場創出, 国内製造の火, サプライチェーン国内死守
- Context: 経産省の同時支援の真意, リコーと長州産業のアプローチの違い, 既存市場の底上げと新市場の開拓, 産業戦略の仮説, 中国勢への対抗

